完璧主義が引き起こすストレスとその影響とは?

 

となりのカウンセリング石巻の佐々木里栄です。

完璧にやろうとする気持ちは、とても誠実でまじめな姿勢のあらわれとも言えます。責任感が強く、きちんと物事に取り組もうとする姿は、多くの場面で信頼を得る大切な力にもなります。

けれども、その「完璧でなければならない」「ルールはきちんと守らなければ」という思いが強くなりすぎると、日常生活の中で少しずつ息苦しさを感じるようになることがあります。

たとえば、予定が少し変わっただけでも動揺してしまったり、他の人のやり方を受け入れにくく感じたり、思いどおりにいかないと強いストレスがたまってしまう…。そういった場面に心あたりがある方もいるかもしれません。

このように、完璧主義や柔軟に対応できない傾向が強く表れている状態を、「強迫性パーソナリティ障害」と呼ぶことがあります。

強迫性パーソナリティ障害は、「性格の傾向」が極端に現れ、日常生活や人間関係にまで影響を及ぼす状態です。これは「強迫性障害」と混同されやすいのですが、内容は異なります。

強迫性障害が「考えたくないのに浮かんでしまう考え」や「やめたくても繰り返してしまう行動」が中心であるのに対して、強迫性パーソナリティ障害は「こうあるべき」「きちんとしなければ」という考え方や、生活全般へのこだわりが強く表れる特徴があります。

強迫性パーソナリティ障害の特徴としては、自分で決めたルールを厳密に守らなければならないという思い込みや、秩序や規則をとても大事にするあまり、行動に柔軟性が持てなくなることが挙げられます。

 

また、自分だけでなく他人にも同じ基準を求めてしまい、無意識のうちに厳しい目で見てしまうことがあります。その結果、周囲と衝突してしまったり、「融通がきかない人」という印象を持たれてしまうことも少なくありません。

 

さらに、完璧を追い求めるあまり、かえって効率が下がってしまったり、仕事や課題の締切に間に合わなくなることもあります。人一倍頑張っているはずなのにうまくいかない…そんな葛藤を抱えながら、一人で苦しんでいる人も多いのです。

最初のうちは、ただの「頑張りすぎ」や「真面目な性格」と見過ごされてしまうこともありますが、こうした傾向が続くと、心のエネルギーが少しずつ削られてしまいます。そして、気づいたときには人間関係のストレスや自己否定感が大きくなって、ますます苦しさが強くなってしまうこともあります。

 

ただ、これらの特徴を持っていたとしても、「障害だからダメ」というわけではありません。性格や考え方の傾向に気づいていくこと、そして「完璧じゃなくても大丈夫かもしれない」「ときには柔らかく考えてみようかな」と思える余白をつくっていくことで、心は少しずつ軽くなっていきます。

 

無理をしすぎる前に、立ち止まって自分の状態を見つめてみること。
それはとても大切な、心を守る行動です。

「もしかしたら、これって当てはまるのかな」
「大切な人がこのことで悩んでいるかもしれない」

そんな風に感じることがあったら、ひとりで抱えずに、話をするところから始めてみるのもひとつの方法です。言葉にすることで、見えてくるものや、気づける感情があるかもしれません。

 

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