となりのカウンセリング石巻の佐々木里栄です。
「休職をして申し訳ないんです」
うつ病や適応障害などで休職された方から、こうした言葉をよくお聞きします。
ご本人は「まさか自分が……」という驚きとともに、「迷惑をかけているのではないか」「自分が弱いのでは」といった気持ちを抱えていらっしゃることが多いです。うつ病や自律神経の不調、パニック障害など、自分には関係のないことだと思っていた、という方も少なくありません。
実際にご相談を受ける中で、共通して見えてくることがあります。それは、休職に至る方にはある“傾向”があるということです。
ひとつめは、「とても真面目で責任感が強い」という点です。任されたことに全力で取り組み、手を抜くことに罪悪感を持ってしまう方が多くいらっしゃいます。周囲からの期待に応えようとがんばりすぎてしまい、自分の限界を越えていることに気づけなくなってしまうのです。
「手を抜く」というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、本来は、自分の負担を調整したり、人に頼ったりすることも大切なスキルのひとつです。それが上手にできる人は、自分のキャパシティを正しく理解し、物事に優先順位をつけて動くことができます。
でも、体調を崩して休職に至る方は、全てを自分で抱え込んでしまいがちです。たとえ疲れていても誰にも頼れず、家に帰ってからも仕事のことが頭から離れず、心身の休息がとれない……そんな状態が続いていることもよくあります。
そうして限界が近づいているにも関わらず、「休むなんて申し訳ない」と感じてしまう方が本当に多いです。なぜなら、「自分がいないと仕事が回らない」「会社に迷惑をかけてしまう」と思っているからです。
でも、現実には誰かが休んでも、職場は回っていきます。育児休暇や介護休暇のように、一時的に人が抜けても組織が崩壊することはほとんどありません。
だからこそ、「休む=悪いこと」ではなく、「必要な回復のための時間」と受け止めていただけたらと思います。
また、ご相談の中でよくお聞きするのが、「完璧主義」や「頼まれたら断れない」という性格傾向です。何でも自分でこなそうとしてしまい、他人に頼るのが苦手。責任感が強いがゆえに、人から頼られると断ることができず、結果的に自分の限界を超えてしまうのです。
そうした方は、頭の中では「これ以上は厳しい」と分かっていても、「迷惑をかけたくない」「期待に応えなきゃ」と思ってしまい、無理をしてしまいます。
その結果、仕事の優先順位がつけづらくなり、焦りがミスを生んだり、プレッシャーから十分な成果が出せなかったりすることもあります。
すると、ますます自信を失い、落ち込んでしまうという、悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。
さらに、自責の念が強いという傾向も見られます。何かトラブルが起きた時、過度に「自分が悪い」と思い込んでしまう方もいらっしゃいます。他人の失敗さえも自分の責任に感じてしまい、強いストレスを抱え込みやすくなるのです。
こうした方々は、相談すること自体にも抵抗を感じやすいのが特徴です。「誰かに話しても、『それは自分が悪い』と言われるのでは」と不安になり、結果として誰にも打ち明けられず、一人で悩み続けてしまいます。その状態が続けば、心身ともに限界を迎えてしまっても不思議ではありません。
でも、そうした性格は決して「悪いところ」ではありません。むしろ、人の気持ちに敏感で、責任感があり、思いやりにあふれた素晴らしい面でもあるのです。大切なのは、自分を責めすぎず、無理に性格を変えようとせず、「少し頼ってみる」「少し休んでみる」ことを自分に許してあげることです。
がんばることも大切ですが、立ち止まることも同じくらい大切です。
体調を崩す前に、「最近ちょっと疲れてるな」と感じたら、その声を無視せず、どうかご自身をいたわる時間を持ってみてください。
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