カウンセリング事例 | 毒親に育てられたトラウマ(父 72歳・逝去 娘 46歳)

私は46歳の女性で、72歳で亡くなった父の娘です。私の父は、いわゆる「毒親」でした。子供の頃から、父の厳しい言葉や期待に応えることができず、自分の存在価値を見失うことが多かったです。大人になってからも、その影響は大きく、生きづらさを常に感じていました。

ある日、SNSで毒親に関する情報を目にし、「これが私の感じていた生きづらさの原因だったんだ」と初めて理解しました。毒親に育てられたことが、私の心に深い影響を与えていたのだと知り、一時的に安心したような気がしました。しかし、それだけでは問題の解決にはなりませんでした。亡くなった父を恨むだけでは何も変わらず、むしろもっと辛い気持ちに苛まれることになりました。私は父のことが嫌いだったわけではないからです。

そんな状況をどうにか改善したいと考え、カウンセリングを受けることに決めました。初めてカウンセリングに訪れたとき、カウンセラーは非常に親身になって話を聞いてくれました。私は父との関係や、それによって生じたトラウマについて打ち明けました。カウンセラーは私の話を否定せず、理解し共感しながら進めてくれたので、非常に安心感を覚えました。

カウンセリングを通じて、まずは自分の感情を正直に見つめることができました。私は父に対して複雑な感情を抱えていました。父の厳しさや期待に応えることができなかった自分に対する自己嫌悪、そして父を憎みきれない自分の気持ちに混乱していました。カウンセラーとの対話を通じて、これらの感情を一つ一つ整理することができました。

カウンセラーは私に「感情の受容」という大切なプロセスを教えてくれました。これは、過去の出来事や感情を否定せずに受け入れることで、自分自身を癒す方法です。父に対する感情を無理に抑え込むのではなく、ありのままの気持ちを認めることが大切だと学びました。

具体的な方法として、カウンセリングの中で「ジャーナリング」を始めました。ジャーナリングとは、自分の感情や思いを自由に書き出すことで、自分自身を見つめ直す手法です。父との思い出や、その時に感じたことを正直に書き出すことで、自分の中にある感情を整理することができました。また、父への手紙を書くことで、言葉にできなかった思いを伝えることができました。

このプロセスを通じて、私は父に対する気持ちを再評価することができました。父は厳しかったけれど、それは私を思ってのことだったのかもしれない。父の行動には愛情があったのかもしれない、と考えるようになりました。そして、父を完全に憎むことはできない自分を受け入れることができました。

さらに、カウンセリングでは「自己肯定感」を高める方法も学びました。自己肯定感とは、自分自身をありのままに受け入れ、価値を認めることです。これにより、私は自分の過去を否定せずに生きることができるようになりました。カウンセラーのサポートを受けながら、自分の強みや良い面を見つけ、それを認めることで、自分自身に対する信頼を取り戻すことができました。

カウンセリングを終えた今、私は父に対する感情を前よりも穏やかに受け止められるようになりました。父のことを嫌いだったわけではないし、むしろ愛していた部分もあったことに気付きました。亡くなった父を恨むことなく、父との思い出を大切にしながら、自分自身をも大切にすることができるようになりました。

もし、同じように毒親に育てられたトラウマを抱えている方がいるならば、カウンセリングを受けることを強くお勧めします。プロのサポートを受けることで、過去の感情を整理し、自分自身を受け入れるプロセスを始めることができます。カウンセリングは、自分自身を理解し、癒し、前向きな未来を築くための大きな助けとなります。