カウンセリング事例 | 不登校(母 41歳 息子 16歳)

私は41歳の母親で、16歳になる息子がいます。息子は突然学校に行かなくなり、不登校になってしまいました。毎朝、息子がベッドから起き上がることもできずにいる姿を見るたびに、心が痛みました。どうにかして息子が再び学校に通えるようになってほしいと思い、思い切ってカウンセリングに連れて行くことにしました。

初めてカウンセリングの予約を取った日、息子は不安そうにしていましたが、私もまた同じように不安を感じていました。カウンセリングルームに入ると、優しそうなカウンセラーが迎えてくれました。カウンセラーの温和な表情を見て、「本当にこの人は息子に喝を入れてくれるのだろうか?」と内心で不安に思いました。私は息子に厳しい言葉を投げかけることで、彼を奮い立たせることが必要だと考えていたのです。しかし、今振り返ると、それがいかに本質からズレた考え方だったのかがよくわかります。

カウンセリングが始まると、カウンセラーはまず私たちの話をじっくりと聞いてくれました。息子の学校生活や家庭での様子、私自身の不安や悩みについても、丁寧に耳を傾けてくれました。カウンセラーの穏やかな態度に触れ、次第に私も息子も心を開くことができるようになりました。

カウンセラーとの対話を通じて、私は息子の不登校の原因について深く考えるようになりました。これまで私は、息子がただ怠けているだけだと思っていました。しかし、カウンセラーの指導を受ける中で、息子の内面にどれほどのプレッシャーやストレスがかかっていたのかを理解することができました。息子は学校での勉強や友人関係に悩み、私が抱えていた期待に応えることができない自分に対して大きな不安を感じていたのです。

カウンセリングを受けることで、私自身も大きな学びを得ました。私はこれまで息子の不安やストレスに気付かず、逆に自分の不安を息子に押し付けていたことに気付きました。息子が学校に行かないことに対して強い焦りや苛立ちを感じ、その気持ちを息子にぶつけてしまっていたのです。カウンセラーは私に「親としての役割」を再認識させてくれました。それは、息子に対して厳しい言葉をかけるのではなく、彼の気持ちを理解し、支えることが大切だということです。

具体的な対策として、カウンセラーは私たちに「家族でのコミュニケーション」を大切にするように勧めました。息子が感じているプレッシャーやストレスについて話し合い、彼の気持ちを理解するための時間を持つことが重要だと教えてくれました。私たちは毎日少しの時間でもいいから一緒に話し、息子の気持ちを聞くように心掛けました。

また、カウンセリングを通じて、私は息子の「自己肯定感」を高めるための方法も学びました。息子が自分に自信を持てるように、小さな成功体験を積み重ねることが大切だということです。例えば、家の中で簡単な家事を手伝ってもらい、それに対して感謝の言葉を伝えるようにしました。息子が少しでも前向きな行動を見せたときには、積極的に褒めるようにしました。

カウンセリングを受けることで、息子の態度にも少しずつ変化が見られるようになりました。最初は小さな一歩でしたが、息子は少しずつ自分の気持ちを話すようになり、部屋の外に出る時間も増えてきました。カウンセラーの助けを借りながら、息子は自分自身を見つめ直し、少しずつ前向きな気持ちを取り戻していきました。

特に印象的だったのは、カウンセラーが教えてくれた「共感」の重要性です。共感とは、相手の感情に寄り添い、その感情を理解しようとする姿勢です。私は息子の気持ちに寄り添い、彼の苦しみを理解しようと努めました。これにより、息子とのコミュニケーションが少しずつ改善され、彼が私に対して心を開くようになりました。

また、カウンセリングの効果は家族全体にも広がりました。私たち家族は息子の問題を通じてお互いをより深く理解し、支え合うことの大切さを学びました。妻もカウンセリングを通じて自分自身の気持ちを整理し、家族に対する態度を見直すことができました。私たちは家族全員で協力し合い、息子の回復を支えるために努力しました。その結果、家族全体の絆が深まり、以前よりもお互いを理解し、支え合うことができるようになりました。

カウンセリングを受けたことで、私は過去の自分に対して喝を入れたい気持ちになりました。息子が不登校になった原因を理解せず、ただ厳しく接することで解決しようとしていた自分に対して反省しました。カウンセラーの助けを借りながら、自分の態度や考え方を見直すことができたことに感謝しています。

今では、息子との関係が以前よりも良好になり、彼が少しずつ自信を取り戻していく姿を見て、私も妻も心から嬉しく思っています。息子が再び学校に通えるようになるまでの道のりはまだ続きますが、私たち家族は彼を支え続ける覚悟です。

もし、同じように子どもの不登校で悩んでいる方がいるならば、カウンセリングを受けることを強くお勧めします。プロの助けを借りることで、自分自身や家族を理解し、問題に対処するための具体的な方法を見つけることができます。カウンセリングは、自分自身を癒し、家族との健全な関係を築くための大きな助けとなるでしょう。